バタイユきっかけで。
まずはじめに単純な物々交換の話じゃないんだよ、と釘を刺される。
興味深かったのは以下の点。
私たちの社会では区別がついている事象が混ざり合っている社会
- 取り上げられている社会では、
法、呪術的な意味、物の価値、他の族との交流、物資の流通、地位や名誉の保持・更新…
私たちが区別をつけている色々なものが混ざり合っている。 - 人・物・魂の混ざり合い →古いローマ法の売買について
- 贈り物の拒否が盗みと混同される(p52) →受け取る義務
物に宿る精霊・魂
- 私は物を失くした時、「あーどっか遊びに出かけたのか」と思うことがある。
そういう感覚の意識下の部分は、これと繋がってるような気もする。
意識上の理由は喪失感の埋め合わせと、そういう世界の方が面白いからというものだが。 - 物を与えることは自分の一部を与えることでもある。
だから物には還るべきところができるし、もらった側は返さねばならない。
他人の魂に由来する物を持ち続けると自分を蝕む (p37)。
→ 贈り物は毒でもある - 赤い糸じゃないが、贈り主と品物との間にはそういう繋がりがあって、離れない。
だからもらった側はそれを断ち切る儀式を行う(p262)
これも感覚的にわかる気がする。 - 自分の領地に生えているのに、その木を切る際神々に対価を払うトラジア族。
上と似てる。神々の物を自分の物にする手続きなんだと思う。
父が窯焚きをする前に、安全祈願で窯の上に塩や酒を供えることがあるのだが、あれはかまどの神様に「火を操る術を自分にも分けてください」という手続きとしての意味も含まれてるんじゃないだろうか。
富の循環
- サモアのオロア(父方の財)とトンガ(母方の財)
子供はトンガである。
里子に出すことで、オロアとトンガを相伝的に交換する体系。
(注釈と合わせて考えると意味がよくわからなくなった。解説がほしい)
- トロブリアンド諸島の宝、ヴァイグアの循環
日本だと神輿の持ち回りとかでこういうのありそうだ。
権力の保持・更新
- ポトラッチ: 富をどれだけ破壊できるか競争する(供犠の意味もある)
- 返礼の義務がある中、どれだけ威厳をもって贈り物を受け取れるか
ゲルマン法
- 贈与・受領・返礼の義務が垣間見える伝承
(招待されなかった人々の呪詛、招待された人々の謝意・気前のよさ)
眠り姫の童話を思い出す。
- 物の拘束(ネクスム)
契約の際、担保として価値の低いものを売り手に渡す(手袋、一枚の貨幣、ナイフなど)。
これらは自分の個性が染み込んだものであり、相手の手中にある限り拘束される。
契約履行は自分を取り戻すこと。
また、受け取る側も縛られるため、まず地面に投げつけるなど警戒する。
贈与が他者との信頼関係の持続に繋がり、協同関係が生まれるという最後の話も面白かった。社会の根幹に贈与が根を下ろしているのだなーと。
最初は読みにくい本だと思ったが、何回か読み返して線を引いていくうちに慣れてきた。誤字がいくつかあってそこは残念。でも読むたびに発見がある面白い本だと思う。
ここの「感情の贈与」も面白い内容:
精読会初参加: 『たのしいムーミン一家』を『贈与論』の観点から読む
『レヴィ=ストロース入門』 p138 プリコラージュ
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