2015-04-16

東京旅行3 サントリー美術館「若冲と蕪村」展

4日目


昨日のTDLで体力使い果たして、この日はゆっくり。
サントリー美術館の「若冲と蕪村」展を観に行く。
ふたりは同じ年に生まれているそうな。


蕪村

「蕪村」の号は陶淵明に由来してるんだって!へえ~。
早く詩集読まねば。 >漢詩 | 怪物であそぼう

肩の力を抜いたようなひょうきんな絵が多くて、でもこれは描こうと思って描けるもんじゃないなあ……。
鯉の絵なんて、ささっと描いてるようで、その一瞬でどれだけ的確にものを捉えているんだと。
ただただ舌を巻く。

Wikipediaにもある「鳶・鴉図」199 も見ることができた。
軽妙な絵とはまた違う趣で、威厳ただよう鳶はめちゃくちゃカッコイイ。
地の白を生かした、雪が舞う表現も面白かった。
解説によれば鳶は芭蕉、鴉は蕪村のイメージと重なるのだとか。

「鳶の羽も刷ぬはつしぐれ」 「一ふき風の木の葉しづまる」 >猿蓑集巻之五脚注

「ひごろ憎き烏も雪の朝哉」 >和の心にて候

連なる山々に素朴な生活を送る小さな人間たち、といった情景の絵も印象的。自然の中に人々の素朴な生活が存在する。全景を見渡すような世界観を持っていた人なんだろうなあ。
私も山ん中で普段生活してるから、なんとなくわかる気がする。


若冲

もう何見ても「うまっ……!」しか言ってなかった。

それくらい技術が凄い。着想が面白い。着想を表現する技術が凄い。表現するものへの愛情の注ぎ方が凄い。極彩色の力強さ、立体感を出すグラデーション、緻密なテクスチャ描写、デザイン性、色絵だけじゃなく墨絵もかっこいい。

画面が枝や蜘蛛の糸で分割されている時の、背景色を微妙に変えているのはどういう効果を狙ったものなんだろう。メタっぽくて面白い表現だと思った。

桃の実を取ろうとする猿の絵にもその表現が。 >「猿猴摘桃図」165
この桃の実、食べるとなんと不死身になるんだとか。
絵を実際見ると、葉脈の彩度の高い緑がテラテラ光を放っていて、怪しい生命力を感じさせる。

特に印象的だったのは、野菜の絵。
自分ちの畑の様子を思い出しながら楽しめた!

えんどう豆の皮の厚さ(そのせいか最近うちではスナップえんどうを食べている)、なすびのトゲ(痛い)や虫食いでかたくなるところ、里芋の剥いたらぬるぬるしそうな感じ、どれも親近感がわく。
>「蔬菜図押絵貼屏風」221

ヘチマの黄色くかわいい花、受粉してしぼみ、ふくらみ始める小さなヘチマの実、奔放に伸びるつる、葉の黄色い染み、昆虫たち。そうそう、畑のヘチマこうなってたよなーって。
実物に基づきつつも、デザイン化された構成。
鶏の絵もそうだが、よく観察し、知っているからこそ簡略化できるんだなー。
>「糸瓜群虫図」10

そして終盤にくるのが、たくさんの野菜によって表現された釈迦涅槃図。
二股の白い大根を釈迦に見立て、周りをたくさんの野菜、果物、きのこが囲む。
この絵が素晴らしかった。

発想が斬新というのもまあそうなんだけど、色も格好も種々多様な人たち(野菜)が釈迦を慕っている、その様子が、あまねく衆生に教えを広めた釈迦その人を表してるのかな、と。
それと野菜たちを描く、すみずみまで気を配った筆に、親愛の情を感じた。
>「果蔬涅槃図」207


いやー、いい展覧会だったなあ。
図録も買って、一気に荷物が重くなったよ。
だって内容がとても良かったんだ。これで3000円は安いと思う。

このあと六本木ヒルズの謎解きプロジェクトに参加しようと思ってたけど、さすがに疲れてあとはずっと休憩。でもいろいろ楽しかったことを思い出す時間になって、良かったな~。



ってことではい、帰鹿!


空港帰りはいつもここによって鳥刺しを買う。


きんかん卵。これだけあって50円。安っ!



そして日常へ……

関連





東京旅行2 東京ディズニーランド

3日目


東京ディズニーランド。来たよ~~。


人多いのは言わずもがな、だけど日曜の割には少なかった(らしい)。
ファストパスと神タイミングの組み合わせで、40分以上待つことなくアトラクション回れた!

腰痛でジェットコースター系行けるか危ぶんでて、午前中スペースマウンテンに乗ったんだけど……ギリ、大丈夫でした。ギリ。
最初「ワーー!!」言ってたのが後半無言だったとつっこまれた。
意外と怖かったのよ、ディズニーなめてたよ。



トゥーンタウンでは「このドア開けると面白いのがある」と騙されて、ビリビリ言うドアにびっくりしてたら、後ろで写真撮影してたグーフィーにも笑われるっていう。
く~~っ、二重に悔しい!!


あとはシューティング・ギャラリーも楽しかったなー。
「10点満点めざす!」と意気込んで、2回目は同じ的を延々撃つという小狡い?ことをやってたんだが、外すし……!
「なんで~~!?ちゃんとやったよ!?ちゃんとやったじゃん!」
って言ってたら言い訳っぷりがツボだったらしく、横で爆笑しとった。
最高6点でしたとさ。いつかリベンジしたいね!



パレードはイースター仕様。「ぴょんぴょんぴょん♪」



そして謎に気になったジャングルクルーズ待機所のこの方。
おっぱい大きい。


夜のシンデレラ城をスクリーンにした「ワンス・アポン・ア・タイム」も素晴らしかった。
プロジェクションマッピング+ライト+花火の総合演出。あれは見てよかったな~。

行った所を書き出すとこんな感じ。ほんと堪能。

トゥモローランド

スター・ツアーズ
スペース・マウンテン
スタージェット
バズ
モンスターズ・インク  アトラクションもショップもかわいかった!

トゥーンタウン

ドナルドのボート
ミニーの家
ロジャーラビットのカートゥーン・スピン

アドベンチャーランド

ジャングルクルーズ
ウェスタンリバー鉄道
カリブの海賊
スイスファミリー
チキルーム

ウェスタンランド

シューティング・ギャラリー
ビッグサンダー・マウンテン
カントリーベア
蒸気船
ラッキーナゲット  チュロスとかターキーレッグ食べた。でかかった!

ファンタジーランド

ホーンテッド・マンション
フィルハーマジック
白雪姫
スモールワールド
キャプテンフックス・ギャレー パインピザ意外とウマー。

ワールドバザール

ペニーアーケード
ハウス・オブ・グリーティング  欲しかったEnjoy the Park !のノート買えた!


つづき



東京旅行1 築地、浜離宮庭園

帰ってきたぞ~っ!!
今回の旅行はほんとに充実してた。楽しかったな~~。

1日目




午後着、あいにくの雨でした。東京寒ッ!


2日目


築地で朝食。雨なのに人めっちゃ多い!
まるきたってお店の海鮮丼食べた~。のりの味噌汁おいしかった~。
今まで食わず嫌いだったんだけど、ウニとイクラも食べられたよ。
次から鹿児島でも食べてみよう。

マグロのステーキ、焼き牡蠣もおいしそうだったなー。満腹で食べられなかった……。
あとテリー伊藤兄?の店の卵焼き。
お菓子みたいに甘かったなぁ、食後のデザートって思ったらいいのかも。


浜離宮恩賜庭園へ。
もともと将軍家の鷹狩りの地なんだって。
エサになる、野生の鴨をおびき寄せる池があった。


「大覗 おおのぞき」という覗き穴から様子をうかがう。


普段、音を鳴らしながらアヒルを餌付けしておくと、音に反応するようになる。
その状態で堀の向こう(小覗 このぞき)から音を鳴らすと……


カンカンカン!


堀にアヒルがやって来る → 習性で野生の鴨もついてくる → 鴨の誘導完了!


堀の両側に鷹匠が立ち、逃げる鴨を鷹が捕らえる。
江戸時代はそうやって鷹狩りが行われていたそうな。

明治以降は、逃すと「ここは危険だ!」と仲間にバラされてしまうので、「叉手網 さであみ」を使ってしっかり捕まえたらしい。
「アヒルは飛ばないから鴨だけ捕ることができる」って、よくできた仕組みだよな~。



勉強のあとは景色を堪能。
周囲とのギャップに最初は驚いたけど、ビルの水色・桜のピンク・緑の色彩がとても綺麗でした。



このあとはお台場行って、誕生日プレゼントに素敵なメガネを買ってもらった(!)り、名前だけ知ってたレジャランで遊んだり。ゲーセンで遊ぶ経験が少ないので、新鮮だったー。


つづき



2015-04-01

『ジーザス・サン』 デニス・ジョンソン ★4

ジーザス・サン (エクス・リブリス)



「前後不覚」な語りで綴る11の短篇集。

それは今起きてることなのか?思い出?幻覚?それとも願望?
現実にレイヤーが何層も重なってて、語り手はその幽霊みたいな人物や出来事を繋ぎ目なく語るもんだから、わけがわからない。
倫理観もぶっ飛んでるし、こりゃ飲んでるかヤク中か、でも内容はわかるから醒めかけてるのか。

「マッキネスが今日ちょっと具合悪いんだ。さっき俺、撃っちゃってさ」
「撃ったって、殺したのか?」
「そのつもりじゃなかったんだ」
「ほんとに死んだのか?」
「いや。中で休んでる」
「でも生きてるんだな」
「ああもちろん生きてる。奥の部屋で休んでる」
p53 『ダンダン』

ちょっとどころじゃねーー。
この後車で病院に連れてくんだけど、マッキネスは途中で死んじゃって、「捨てちゃえよ」と言うダンダン、「死んでよかったよ、だってこいつのせいで俺ファックヘッド(ド阿呆)って呼ばれるようになったんだから」と語り手。
なんつー世界だ。

ぶっ飛ぶといえば展開も。
目にナイフが刺さった男が来院し、医者「どうなさいましたかな?」(いやナイフ刺さっとるがな)、病院の薬盗んでハイな雑役夫ジョージーはそのナイフ抜いてるし(!?)、びっくりしたとこが幾つもある。
 p50 奴は死んだ。俺はまだ生きてる。
 p75 でも君は俺の母親だったのだ。
 p83 医者「どうなさいましたかな?」
 p120「俺、ポーランド人なんかじゃないよ」

こうして書いてみると悲惨なことになってるが、語りが淡々としてるので読んでる時は大げさに感じない。たぶん擦り切れた生活が「普通」なので、そうなるんだろう。死に麻痺してるせいで命も安い。

時折描かれる美しいものへの賛美に、感じる心がまだあるんだとほっとするが、それも幻覚が手伝っての相乗効果だったりするのだろうか。

神の啓示みたいな奇跡体験についても?
彼がそこに癒やしを見ているのが、一番哀しい事かもしれない。それしか救いがないと言ってるようで。

心に残ったのは最初と最後の二篇。
どちらも最後の言葉が印象的。



『ヒッチハイク中の事故』


ヒッチハイクで乗った車が事故り、親切な家族は死亡寸前。
ドラッグのせいか朦朧とする語り手は、現場を脱しうろうろと傍観者になり下がる。
最後だけ周りに怒りをぶつけるような強い言葉。
「なのにあんたらは、あんたら馬鹿らしい人間どもは、俺に助けてもらえると思ってるんだ」
p18
生気のない人間に一瞬だけ訪れた「生」の言葉のように感じた。
こぼれていく命をどうすることもできない無力さ、「こんな堕ちた俺にできるわけないだろ!」という暗い感情。


『ベヴァリー・ホーム』


最後の話。実はこの一篇を読むまで、途中で閉じて積読になっていた。
読んでからもう一度全部再読してこれを書いている。

まず「あれ、頭正常になってきてる?」と変化が感じられる一篇で、語り手なりの詩情に富んだ描写に面白みを感じた。内容も奇妙さが日常的に、肯定的に存在してる感じがして、好きだ。

そして最後の文章で、ちゃんと読んでみようと思い直す。
ああいう変てこな連中が大勢いて、俺は奴らに囲まれながら毎日少しずつよくなっていく。それまで俺は一度も、俺たちみたいな人間の居場所があるかもしれないなんて全然知らなかったし、一瞬たりとも想像したことすらなかったのだ。
p170

結果、テキトーで、奇妙で、哀しくて、滑稽で、時々胸に突き刺さって、すごく面白くなってきた。スルメ本かもしれない。