2013-03-20

『約束の地で―魔術士オーフェンはぐれ旅』

魔術士オーフェンはぐれ旅 約束の地で

新シリーズその2。
以下ネタバレあり。


あれから20年ほどが経ち、オーフェンもすっかりオッサンに。
新大陸(キエサルヒマ大陸の外。現住人は原大陸と呼ぶ)にて魔術学校を開き、校長を務める。イラストを見ると筋骨隆々、きりっとした風采でどこかチャイルドマン先生を思わせる雰囲気。
そしてクリーオウと結婚したらしい。結婚!したかあ…あのふたりが。
娘が3人いて、彼女たちも物語の要。

20年も経つと昔の出来事に対する誤解が色々あるようで、今までシリーズを読んできた人は「ちがうちがう、本当はこうなんだよ!」と歯がゆい気持ちにさせられる。
オーフェンの罪状が上乗せされてる感もすごいし。オーフェン、キエサルヒマの内紛扇動の罪も被ってるみたいだがあれって均衡崩したきっかけは彼が作ってるけど、その機を狙って自治拡大に動いたのはそれぞれの組織だろうになー。
キエサルヒマにいないし故郷捨てた人だし魔王だしで、汚れを全部押し付けられる便利な存在ってことか。
同様に彼が苦労して工面した原大陸への船は貴族連盟・魔術士同盟の助力があったと改変されてるそうだし。
おいしいとこ取り。大人ってきたねーよ!

あとは前巻の出港時の、レティシャがクリーオウに託した「殴っといて」。
あれがものすごい大げさなことになってて笑った。
チャイルドマンの名前が風化してるのも意外とショックだったなー。時の流れってやつかあ。

主役となるのはレティシャとフォルテの息子、マヨール。
妹のベイジット、塔教師のプルートーと共に「魔王」オーフェンの学校を訪れる。
挿絵のエッジ、マヨールの顔がそれぞれオーフェン、ティッシの子だなーと実感できて面白かった。

スウェーデンボリーの話は核心だけどややこしやーだね。哲学本読んでるような気分になるよ。
とりあえず肉体から解き放って精神体になる → 精神から解き放って神になる、という行為をかつて成功させた存在らしい。んでミズガルズソルムル全要素の始祖(アイルマンカー)だと言ってる。ミズガルズソルムルはこの世界を取り囲んでる大蛇で、その中の全要素の始祖と解釈するなら、まさしく創造神そのもの?

だけど肉体をもってしまったので(神人)、矛盾した自己存在に悩まされているようだ。
神へ復帰したい。だが、生き続けたい。
オーフェンが「死ね」と毒づいたのに対し「それがわたしの望みだよ」とかなんとか返してたし、死ぬことが神への復帰につながるのかなー。でも死ぬことはできないらしい。
巨人種が云々、魔王術とかは、おいおい理解してけばいい感じだろうか。

そして満を持してマジク登場。
うわー、だらしない部屋の師匠ってマジクだったか…。
はぐれ旅の時はがさつなオーフェン、クリーオウを咎める立ち位置だったので、意外だな。
そしてちょっとスレているね。あの爽やかな少年が。そうか…。
戦術騎士団のトップだそうだが、給与は見合ってないっぽい。私は応援してるぞ、マジクくん。

今回あとがきが時系列の確認になっていて、それもすごく面白かった。

http://booklog.jp/users/diesseits/archives/1/4904376706

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