2013-05-24

太陽系の中心はどこだ

「共通重心」というのに興味をもったので調べてみた。
惑星は太陽を中心にして回ってると思われてるけど、実際はお互いの「共通重心」を中心にして回っているそうだ。
重心がどこになるかというのは、太陽と惑星がシーソーに乗って、バランス取ろうとしてる所を想像するといいらしい。

太陽に一番大きな影響を与えるのは、惑星の中で一番重たい木星。
太陽と木星は、太陽の表面から4万kmばかり上空を中心にぐるぐる回っている。 >星ナビ

螺旋を描く太陽系

グレンラガンだなー。
銀河目線で見ると太陽系も217km/sで動いているので、こんな風になるのだとか。
The helical model - our solar system is a vortex
The helical model - our Galaxy is a vortex
で、この動画は美しいけれど、いくつか間違ってる部分もあるそうです。

part1
  • 冒頭「以前の太陽系モデルは間違い」というのは間違い。
  • 太陽が惑星をリードしているように見えるが、実際は惑星が前に出ることもある。
part2

  • 銀河面と太陽系の平面は60度の傾きがある。
  • 太陽系の軌道が螺旋を描くのは間違い。
    上下に波のように動く。左右の動きはない。

2013-05-20

あーくれぼ

Arc Revolution Cup

GG新作・BBアニメ化の話がありました。 >4game記事
Guilty Gear Xrd -SIGN- Trailer #1


5/18
最終予選の配信↓ or Twitch/godsgarden

結果
P4U
  最終予選A: インザナ勢(完二)
  最終予選B: H.H(雪子)

GG
  最終予選A: ちびた(紗夢)
  最終予選B: じま(テスタメント)

BB
  最終予選A: テツヲ(ジン)
  最終予選B: りゅうせい(ジン)

写真

ビジネスM @business_m
奥まで入ることが出来ない位にあーくれぼ最終予選、最高ーーっっに盛り上がっております!! #arc25th

パチ @HYPER_pachi
明日のアークフェスの司会をやるコーリーさんも最終予選に参戦(笑)突破して自作自演になるか(笑) #arc25th

パチ @HYPER_pachi
あーくれぼ実況解説陣!かみちゃん!アキラ!かずのこ!火九!みんなの協力でなんとか無事に終わりました!しかし最終予選はまだ始まりに過ぎない!明日はもっと盛り上げていきます!現地に参加する人も配信を見る人もお楽しみに! #arc25th






5/19

決勝大会の配信↓ or Twitch/arcfes_official001


トナメ表
スケジュール等はチェッカーメモ参照。

結果
P4U
  優勝 みのり 2位 ソウジ 3位 電波 3位 ゆーさま

GG
  優勝 キーシャ 2位 ハーケン 3位 FAB 3位 フィーノ

BB
  優勝 ガリレオ 2位 天江衣 3位 あばれんじゃー 3位 どぐら

写真

選手村
pct1 @soushihan_ksk
pct2 @HYPER_pachi


総師範KSK ‏@soushihan_ksk
どぐにゃん!そのかっこで常に配信すればアクティブ4くらいあるで!

総師範KSK @soushihan_ksk
辻にゃん、一瞬カワイイと思ってキレそう
pct1 @nikuman_irisa
pct2 @soushihan_ksk


植田佳奈 ‏@uedakana
BB壇上のN男くん、どぐらくんと!
とても素晴らしい闘いを見せてもらいました♪
@ortegadc




レポート

電撃オンライン
インサイド
4Gamer
ファミ通 レポート 優勝者ミニインタビュー


動画

ARC_REVOLUTION_CUP - ニコ動
アークレボ GGXX ACPR - ニコ動
かずのこ・どぐらの感想戦 lv138469107 #GG #BB・P4U  動画

2013-05-19

『恐怖の兜』 ヴィクトル・ペレーヴィン 考察メモ

2008/01/16 感想書き。
2017/11 書き直し。昔は「存在論とか認識論の話」と概要しかわかっていなくて、ミノザウルスになった理由もちんぷんかんぷんだったが、今読むとどんだけ親切に教えてくれてんだよと、説明を丁寧に作品に織り込んでくれていることに驚く。「全てを有す」のためかもしんないけど。

2020/01 たしか書きかけで推敲もできてないが取りあえず公開しとく。







3. 登場人物は何者?


  • 「現象学的に」p50 見ると、彼らはチャットの文字。文字としての存在。
  • 「人間は樹木のごときものだ。(略)思惟は梢でさえずる鳥の歌に似ている。私たちが自分自身と見なすものが現れるには、どれほどの数の鳥がいっせいに歌わねばならないことだろう」p254
  • 私たちは言葉を使って世界を認識する。言語哲学
頭の中(兜の中)に入ってしまった人間たちであり、
文字としての存在でもあり(プログラミング言語でもあり)、
ざわざわとさざめく思惟、内言(頭の中で考える時のことば)でもあり、
パンデモニウムのデーモンたちでもある。

人間たちでもあるというのは、彼らも恐怖の兜をかぶり得る存在だから。
→ 増殖[ ]

4. 恐怖の兜とは?


■ 私たちは、何かを認識した時点で頭の中にそれをつくりだし、外にあるものだと思って見ている。外が実際どうなっているか、知ることはできない。
兜の中、自分の頭の中だけを見て、一生を終える。
(そう書くとすげー孤独な感じする)
独我論 wikipedia 心の哲学まとめwiki

■自分を認識すると自分も兜の中に入ってしまう素敵仕様。
入れ子の中に閉じ込められる。

■ 恐怖の兜は、みずからを構成している一部分の中から生じ、別の部分の内部に存在している p100


p236



テセウスの世界

恐怖の兜というのは、誰かの頭の中に囚われることだ、としたところで、じゃあこれは誰の頭の中なのか?という疑問が出る。
それは以下のような点を見て、ミノタウロス=テセウスの頭ん中と推理。

■終盤、登場人物の頭文字が合体してミノタウロス minotaurus になる。
このとき頭文字Tのテセウス Theseus は、ミノタウロスの中心に位置する。
 m i n o t a u r u s
(「古代には同じ字を二つ重ねるのは、むだなことだと見なされていたのかもしれない p155」 2回現れるugli666をワンカウントにする)

■頭ん中の思惟を木に例える部分:
「Man is like unto a tree.The thoughts in his head are like the songs of birds in the crown of the tree.」
ミノタウロス minotaurs の中心に位置するテセウスは、木の幹。根幹。
=自分自身。
英語だと、tの字の形も幹を連想させて、うまいこと重なってるなあ。
→ ロシア語版でも「MINOTAUR」は英アルファベット。
→ プログラム的でもある。
梢にとまって歌う鳥たちは他のメンバー。思惟、内言の比喩?


■「迷宮の中心には十字架がある」
=「minotaurs(迷宮)の中心には十字架(tの文字)がある」

tの字型の墓があるって、テセウスのお墓みたいだよなー。
墓があるってことは、テセウスが消えたときのあれって、死んだってことなんだろか。
でも仏教でいう、解脱っぽくもあるんだよなあ。
意味を重ねてるのかなあ。

■テセウス Theseus ←→ The Zeus 世界の創造神ゼウス
 T h e s e u s

テセウスの中心の文字「S」は、鏡文字でみると「Z」。
(「Z」は「S」が鏡を見ると映る文字なんだから、自分のことなのだ。あと「S」と「Z」もまた、単語の中心にある文字。中心、根幹、……テセウスの正体、的な意味合い?)

テセウス=ゼウス、ということはテセウスはこの世界を作った人。
兜被ってる本人。
「テセウスとはわたしたちがお仕えしている方に他ならない」とも言ってるから、迷宮(ミノタウロス)はテセウスの創った世界なのだろう。


テセウス
「MINOTAURUS !」
と叫んだ時、MINOTAURしか完成しない
そこにゼウスが現れ
「ksが」
みんながモーー!と同じ順で鳴き、テセウスが消える
minosaur
テセウスの中心文字まで同一化?

p25


消えたテセウスは脱出、死、解脱。


しかし、このの部分が恐怖の兜だったら、
そもそもそんなものかぶって無い、ともこの本は言ってる。



ということはミノタウルスは大きな自分で、


ミノタウロスは自分の存在を確かめようと血を求める。
生け贄となるのは、Aの中の B, C…モンストラダムスやナッツクラッカーたち。
Aの中のAが消えたテセウスだとして、
それを捕らえる怪物となるのは恐怖の兜そのものだから、
でかいA以外のみんながミノタウロスになる。

Aの中のAもBもCも、みんなミノタウロスだ。
テセウスがきた瞬間の出来事は、こういう意味だったんじゃないかなあ。


PRE P HUM HUM MINOSAUR
コマンド?
HUMは機械のブーンという音。
Sliff_zoSSchitan: PRE P HAX HAX MINOSAUR
HAX=hacks, cheat

だってこの本は『恐怖の兜』なんだから、「その内に全てを有する」わけだ。




ついでに

モンストラダムスさんに一言言いたい。触手はそんなんじゃないぞ。



リンク





関連




2013-05-18

『ドグラ・マグラ』その2

構成がうまいよなーと。ちょっと整理してみる。また読めば違うことを思うかもしれない。
 >その1(感想)

不安要素1

主人公は精神病棟にいる。名前も過去もわからない。
→ 頭がおかしいのではないか?見聞きしていることは妄想ではないか?

不安要素2

作中論文、『胎児の夢』の文章:
「1秒が長大な時間、長大な時間がたった1秒ということがありえる」

この作品もそうなのではないか?
長大な作品だが、たった1秒の夢なのではないか?
あるいは、一部分が夢ということも。

作中作

『ドグラ・マグラ』が作品内に登場。
この作品全てが、作品内の一部に吸い込まれる。

正木と若林の言う日付

A
 病院の中で。
 若林「今日は11/20、正木先生が自殺した1か月後」
 青年、原稿を読み始める。

B
 青年、読み終わる。
 死んだはずの正木が現れ、「今日は10/20、若林は嘘をついている」

C
 病院を飛び出し、帰ってきた後。
 ほこりをかぶった資料の中に、「正木自殺」=自殺してだいぶ時間が経っている。
 青年「10/20を繰り返し夢に見ているのだ」

 もしくは10/20を夢に見た11/20(仮)をも夢に見ている。

 Cでは詳細な日付は出てなかったような気がするが、Aと同じ時か?
 Aの日付は嘘かもしれない(Bもまた然り)。
 BはA,Cよりは前の時間…(だよな。若林の言ってた正木の死因おかしいところあったっけ?)

全部妄想なら、こういうことを考えるのも無意味な気がする。
うわあああぁぁ。

面白い。

全部夢だとしても

全てが妄想なのか、それともいつか現実に起きたことを夢に見ているのか?

もっとメタ的なことを言うと

私の頭おかしくなってないか?だいじょうぶ?
(もっとも、正木先生の言うように「人類みなキチガイ」なら当然私もキチガイ。)

作中で暗示についての説明や、青年を暗示にかけようとするシーンがあり、

「まさか……。
“これを読むとキチガイになる”という噂は、読者に暗示をかけようというのではあるまいな!?
リアル攻撃してくるとか、この本マジで奇書なんだが!?」

慄いてしまった。

でもたぶん、そういうことはない……はず……だ。


リンク

ドグラ・マグラとシャッターアイランド
似てるらしい。映画観てみようかな。

九相図
http://ja.wikipedia.org/wiki/九相図
http://matome.naver.jp/odai/2128021125751121801


関連ページ






2013-05-17

『虚無への供物』中井英夫 ★3

虚無への供物 (講談社文庫)
三大奇書を読んでみようシリーズその1。

概要

氷沼一族に付きまとう因縁の数々と、彼らを舞台にして起きる4つの密室事件。
様々な曰くで説を飾り立て、4者4様の推理合戦が始まる。


感想


もそも事故死と判断された第1事件。
だがこの本の探偵役たちはこれを密室殺人と捉え、得意げに推理をひけらかす。

読者からすれば、まず他殺かどうかも疑問に思うところを、
いつの間にやら遺族の気持ちを考えれば到底できそうにない、
推理バラエティの聴講者にされてしまうのだ。

話は探偵合戦の体で進み、新発見・前説の撤回・再利用、くるくると説が転回。
どの推理を本筋としていたか、どれが否定されたのか、それともそれさえ嘘だったのか?
段々わからなくなっていった。

読むだけ読んで真相さえわかればいいかと気楽に構えていたのだが、結局それで正解だったかも。

後半怒涛の "曰く いわく" の絡みっぷりには、「どんだけだよ!」と思うほど感服 (※1)
随所で有名ミステリを挙げるので、知ってる人はより楽しめそう。

※以下ネタバレあり。








通の推理小説と変わってるなと思ったのは、探偵たちの突飛な発想の数々、
さすがにそりゃ妄想だろーと思ってたものが実在しているという流れ
(五色不動や薔薇のおつげ、黄司や玄次の存在、紅司のABCD殺人輪舞など)。

後の蒼司の言葉を聞くと、これは動機にも深く関わっている事がわかる。



日のようにニュースや新聞で取り上げられる陰惨な事故、事件。
「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもので、現実は何もかもを飲み込んでゆく。
全うに生きてきた人間が、ふいにぽっかりと空いた穴に落ちる。
蒼司の父親の死は、まさにこれだった。

蒼司は海難事故による父親の「無意味な死」を受け入れることができず、
「父は人間らしい最期を迎えたはずだ」という妄想にすがる。
そしてそれを現実化するために、橙二郎を殺したのだ。
「そうだ。もし神が怖ろしい手違いをしたのなら、おれにだって訂正する資格はある筈だ。」

その彼を、今度は聖母の園の火災事件が苛む。
100人近いお婆さん達がカイロ灰の不始末で死に、
さらになぜか死体がひとつ増えていたという事件。

彼にとっては
「この無意味な死を現実と認めよ。お前の父もこのように死んだのだ」
と言われたに等しい出来事だった。

前に牟礼田が言ったように、「現実の無意味な死」を認めないならば、
その死になにがしかの意味を持たせなければならない。

そうして蒼司は、火災事件を氷沼家に絡む大量殺人事件として描き、
その犯人となる道を選んだのだった。



の犯人は蒼司の空想でしかないが、もし我々が彼を捕らえ処刑するとすれば、
それは彼のシナリオの現実化に手を貸すことになり
(その際には、そのシナリオは "我々の" ものでもある)、
橙二郎を殺した蒼司と同じ役割を演じることになるんだなと思った。

裁く側が加害者と同じ役をこなすとは、ちょっと面白い。
とにかく、蒼司は自ら望んで「意味ある死」を作り出す生贄となる。

(だけどこの「意味ある/ ない」というのも、じゃあ殺人なら意味があって、
 事故は無意味かというとそういうものでも無いんだろう。

 "蒼司にとって" 当初船の事故は無意味と映り、死をなにがしかの方向へ捉え直したい、

 でなければ父の尊厳が保てない、というところから、
 "蒼司にとっての意味ある死" が動機付けられる。

 実際、聖母の園が放火だったにしろ事故だったにしろ、

 私には「こっちの方が意味がある」「こっちの方が人間らしい死だ」なんて言えない。

 ただ犯人がいるというのは、方向性の提示として、

 人を失った悲しみや怒り、やりきれなさを向ける場所があるとは言えると思う。

 原因究明・責任追及も方向性の提示のひとつではあるが、

 蒼司の言葉を聞くとそれをよしとしなかった事が伺える。

 彼は、出来事を神の手――幾つもの無為、偶然の重なりによる事象――

 から人間の元へ引き戻したかった。そんな風にも言えるかもしれない。)



『虚無への供物』という意味についても最後に蒼司の口から語られるが、
これをタイトルにつけているってことは読者への皮肉も込められてるんだろうね。
なるほどそういう意味でアンチ・ミステリかと思い当たったのだが、うーむ。

蒼司くんには悪いが、「未来の殺人を推理する」とか、
紅司くんの死が「アイヌ+蛇+橙二郎の声」で「恐怖と言うものの性質をよく知っていた」
って部分とか、結構面白かったよ。

好奇心は自分にとっては手放せないものだし、
それが人間らしさだと思う部分もあったりするので…まあ何にでも節度があるっていうのは、
すごくよくわかることだ。

第1事件の探偵合戦なんて、久生さんの無節操さには辟易したしね。



「おれが橙二郎を殺したのは、人間の誇りのためにしたことだが、
 どっちにしろ海は、もうそんな区別をしやしない。
 おれのしたことも、別な意味で "虚無への供物" といえるだろうな」

そう、海は区別をしやしないのだ。
この幕引きのセリフは、自分が抗ってきた "無意味さ" を認めているようで、深い。




※1 推理を彩る "曰く" の数々……

  • 氷沼家の業
  • 色に囚われた部屋と誕生石
  • アイヌの蛇神伝説
  • 五色不動と仏説聖不動経
  • アリスの奇妙なお茶会
  • 植物色素と三原色理論
  • 薔薇の名『虚無への供物』
  • 五色不動に対応した薔薇園
  • シャンソンの歌詞
  • 構想のみの推理小説『凶鳥の黒影』
  • さらにそれを実体化した『凶鳥の死』


関連



2013-05-14

『ドグラ・マグラ』 夢野久作 ★4

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

三大奇書を読んでみようシリーズその2。(その1:『虚無への供物』

あらすじ・感想

幻惑、幻惑。

読 み 終 わ っ た ー !
やっとのことで読み終わった。半年近くかかったなー。
「読むとキチガイになる」という噂が気になって、調子のいい時しか読まないようにしてたのと、
祭文のカタカナ文章や正木教授のもったいつけた話しぶりが読みづらいのとで、
なかなか前に進めなかった。

はー、疲れた!
しかしほんとに奇妙な話だったなあ。

はじまりはこうだ。

自分の名前も、過去もなにもわからない青年が鐘の音とともに独房で目を覚ます。
そこはどうやら精神病院で、青年の婚約者だと名乗る少女の逼迫した声が壁伝いに聞こえてくる。
一体自分はどういう人間で、なぜこんな所に入っているのだろう?


※以下ネタバレ注意











その謎を追っていこうとページをめくると、『ドグラ・マグラ』という原稿が作中に現れる。
そしてこの本の仕掛けについて、親切に教えてくれる。

奇妙キテレツな祭文、談話、論文、遺言書、事件記録、昔話などが挿入されて、
一体何が言いたいやらわけもわからぬまま読み進めるが、
青年の過去と関係しているらしい怪事件の真相、そして青年の正体を知る段になると、
その全てが本筋そのものになっている…らしい。

しかも、この作品の終わりに鳴る鐘の音は、最初のものと同一であり得るという。

私が半年かけてこつこつ読んできたこの本は、一瞬の出来事だったかもしれないのだ。
それならまだいいが、一瞬の出来事でさえもなかったかもしれない。
ただの妄想、夢。
そういう「惑わし」がたくさん詰まった作品である。


 ◆ ◆ ◆


怪事件の真相に至ってもそうだ。
「犯人は俺だよ…」と正木が自白するが、
これは「自分がやったから」ではなく「自分にしかできないから」らしい。

自分が犯人なら、やったことを淡々と語ればいいのだ。
だが彼はそうせずに、WとMの物語を聞かせて「黒幕は誰か?」の判断をこちらに委ねる。
どうもはっきりしない。
そうするうち、物語はWとMの非道な行いを紡ぎ出し、ついに青年は声を上げる。

だが待てよ、と。
色々と前もって準備ができる正木・若林の言葉や書類を、一体どれだけ信じられるのか。
もしかして全部よくできた嘘で、かつがれてるんじゃないか?
そうやって、青年が呉 一郎だと思い込ませるつもりじゃないのか。
こちとら、一郎がそこに見えるんだぞ?
それを、離魂病だのなんだのと。

だいたい学術のためとはいえ、
「子どもを孕ませてその子が将来狂人となり殺人を犯すよう準備を整える」
なんて、そこまでするか?

呆れた話だ、もしこれが本当なら。
学者先生たちまで巻物に取り憑かれてるじゃないか。
「もし本当なら」、ね。


 ◆ ◆ ◆


そう、「もし本当なら」。
ここにくるまで散々脳をかき回された分、こういう疑念がこびりついて離れない。
青年もこの「幻惑」を映すかのように「アッハッハッハ」と突然笑い出し、
「犯人なんていなかったんじゃないか、
偶然に起きたバラバラの出来事を無理やりつなげて、こんがらがってるだけじゃないのか」
と言い始める。

そんな疑念にひとまずの終止符を打つのが、巻物の最後の文字だ。
これで父親が誰か、黒幕が誰なのかが青年の頭にピン!ときて、ショックから彼は外に飛び出してしまう。
だがこんな時でも私の疑念は晴れない。
本当に見たのだろうか。
本当にそこに文字があったのか?


 ◆ ◆ ◆


外気に触れて戻ると、さっき見ていた資料にほこりがかぶるほど時間が経過。
そのほこりをかぶった資料の中に、さっきまで話をしていた正木が自殺したとの報。
解放場の流血沙汰の記事。

青年は思い出す。謎に対する答えを。

離魂病、夢遊状態、胎児の夢、被害者の最後の表情…。

ようやく探偵物語は終焉を迎え…

そして鐘が鳴り、私たちは夢から覚める/眠りに落ちる。
また最初に帰るのだ。

『胎児の夢』でこんなことが書かれていたのは、この時のためだろう:


一秒のうちに一億年が含まれていると同時に、宇宙の寿命の長さといえども一秒のうちに感ずる事が出来る訳である。

五十年や、百年の間の出来事を一瞬、一秒の間に描き出すのは何の造作もない事である。

盧生が夢の五十年。実は粟飯一炊の間……とあるのは事実、何の不思議もない事である。


さて、ここまで青年の身に起きた出来事は、現実に起きた事なのだろうか。

「正木との会話」が十月二十日の繰り返しだと考えたように、いつかの出来事を繰り返し夢に見ているのか。

それとも全て、夢の創作に過ぎないのか。
一秒にも満たない、刹那の夢の。

狐につままれたような気持ちで、今はいる。




リンク



関連



2013-05-06

TOPANGA ASIA LEAGUE

公式サイト:
TOPANGAアジアリーグ


結果

優勝 Sako 2位 ウメハラ 3位 ふ~ど

となりました。
視聴者、スタッフ、選手のみなさん4日間お疲れ様でした!



写真

HORI / 広報パートA (HORIJP_A) - Twitter


『湿地』アーナルデュル・インドリダソン

湿地 (Reykjavik Thriller)

あらすじ

雨交じりの風が吹く、十月のレイキャヴィク。北の湿地にあるアパートで、老人の死体が発見された。突発的な事件と思われた。ずさんで不器用、典型的なアイスランドの殺人。だが、現場に残された三つの単語からなるメッセージが事件の様相を変えた。しだいに明らかになる老人の隠された過去。レイキャヴィク警察犯罪捜査官エーレンデュルがたどり着いた真相とは。
Amazon 一部改

『鋏の託宣―魔術士オーフェンはぐれ旅』

魔術士オーフェンはぐれ旅 鋏の託宣【通常版】

新シリーズその6。
以下ネタバレあり。