2014-11-27

人に本をすすめるのは難しい。+思い出話


なぜ海外文学は売れないのか? もうすぐ絶滅するという海外文学について - キリキリソテーにうってつけの日


Twitterで見つけてザザラバーって読んでみたけど、海外文学に関心があるだけ興味深かった。
エーコが『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』って本書いてたっけな。
タイトルそこからきてるのだろか、元ネタ他にあるのかよくわからぬ。


読み進めると
「せっかく興味もってくれてる初心者に玄人向けの本教えたら壊れちまうだろ。新規大事にせーや」といった、格ゲー界でもよく言われてることが書いてあるのだが、そんな中避けるリストにガルシア・マルケス『百年の孤独』があって笑った。


というのも、格ゲー&読書つながりのフォロワーさんと、「同じタイミングで読み進めよう」と話してた本だったため。今年の夏に。

もう12月か、時が過ぎるのは早い……。
彼はとっくに読み終わったようだ。

私はまだ読んでません。はい。
(代わりに短篇集『族長の秋 他6篇』を途中まで読みました) >感想



で、人におすすめするのって難しいよな、と思うところあったわけです。



高校で

初めて私に「親友」と呼べる人ができた時のこと。
彼女は感性が驚くほど合う人で、しかも読書好きときた。

「特別なものを贈りたい!感動を共有したい!」

そんな気持ちが先行したんでしょう、誕生日に贈ってしまったのですよ。
ずっしり重いピーター・アクロイド『原初の光』を……

原初の光

これはその年に出会って、私が最高に感動した一冊。
しかしいくら彼女が読書好きとはいえ、この厚さは……。

プレゼントと言いつつ、「読んでくれー」「時間を使ってくれー」と言ってるわけですからね。
かなりハードルが高いことをしてしまった。

彼女は「今年は他の人からも本をもらったよ、不思議な偶然だー」
と、好意的にとってくれたみたいで。
しかも読んでもくれました。とてもありがたかった。


後々カフェで感想言い合ったっけなあ。
「この人の本、場所が秘める力、みたいなものを感じた」
「それ、思いマシタ」
(アクロイドの他の作品でも、この特徴は顕著)

関連用語をアドレスに入れてたから、もしかしたら気に入ってくれたのかもしれません。
とはいっても、やはり反省が勝る思い出。



では、自分が海外文学に目を向けるきっかけは

どうだったかというと、うーん。

記憶にある一番最初は、中学の図書館にあった『エバ・ルーナ』。
でもちんぷんかんぷんだったと思う。
アンリ・ルソーの表紙に惹かれた記憶があるなー。


中2くらいでエルロイ等海外ミステリを読むようになり、翻訳本をいろいろ読むように。
『不思議の国のアリス』にハマり、マーティン・ガードナーの注釈本を読む。
サン=テグジュペリ『人間の土地』のとある文章と、三つ目がとおるのボルボック回が混ざり、植物vs人間の構図が頭に残る。畑で雑草を抜く時、やけに敵対視していた。

コリン・ウィルソンの犯罪実録も読んでたなー、マルタン・モネスティエも。
なので最初から海外の本には興味があったみたい。


その後公民館の本棚で気になった、ムロージェックの『象』を読む。
風刺の効いたイラスト付きで、アリスの挿絵画家テニエルも『パンチ』誌で風刺絵を描いてたこともあり、当時だいぶ影響を受けた。

この本は奇しくも『エバ・ルーナ』と同じ、国書刊行会の「文学の冒険」シリーズ。
同シリーズの気になった本をわけのわからぬまま読み始める。
クルト・クーゼンベルク『壜の中の世界』、イタロ・カルヴィーノ『不在の騎士』、レイナルド・アレナス『めくるめく世界』など。
ジョン・アーヴィングはわかりやすくて面白かった。


そして高校くらいで、ピンチョンの『ヴァインランド』書評を目にする。
「難解で知られるピンチョンが17年の沈黙を破り~」みたいな。
それが自尊心にピクッときた。「どんなもんか、挑戦してみようじゃないか!」と。

読んでみたら、大正解。
ピンチョンの作品にしては難しくなく、ノリがいいのも幸いした。
「へ~、面白いじゃん!」
そのへんから、「自分は海外文学が好きかも」と意識して読むようになった。





そんな経緯なので、初心者には入りやすいものを紹介せよ、というのはその通りだと、身をもって思う。同じピンチョンでも、いきなり『重力の虹』を読んでたらどうなったかわからない。

あとはミステリ味が強いものだとか、短篇集とか、いいんじゃないかなー。

ペレーヴィン『恐怖の兜』は読みやすいと思う(チャットだし)。
『ハルムスの世界』もすぐ読めるからいいかも。Webでも読める。
『新注 不思議の国のアリス』は、馴染み深いアリスの世界が何倍にも広がるのでおすすめ。

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