2015-08-01

『羅生門』芥川龍之介 ★4

青空文庫

あらすじ

職を失った下人は餓死か、さもなければ盗賊になるか、と思い悩んでいた。
そんな時、女の遺体から髪を抜いている老婆に会い、行為のおぞましさに刀を抜いて問いただす。
下人はこんな悪に手を染めるくらいなら、餓死してもかまわぬ、と思うほどだった。

老婆は「女も元はヘビを干魚と騙し、金を稼いでいたのだ。やらなければ餓死するのだから、仕方がない。その仕方がない事をわかっていた女は、わしのやる事も許すだろう」と言う。

下人にはある勇気がわいていた。
「では、おれが引剥をしようと恨むまいな」
そう言って、下人は老婆の着物を剥ぎ取ると、夜の闇に消えていった。


感想

国語の授業でもやったはずがうろ覚えだった。
昔はいくらか老婆に同情した気がする。
今回はそんなこと微塵も思わず、自分の中のある種の純粋さは朽ち果てたのだな、と思った。

下人は結局盗賊になるが、むしろ最初の正義感が強いと感じる。
悪の種類にもよるだろうが、餓死を選ぶってすごいことだ。

引剥をしようと決心がついた時の感情が気になる。
純粋に老婆の話を真に受けて、「じゃあ俺も同じ事するけど恨みっこなしな!」なのか。
それとも気味悪老婆に、仕返しをする意味も含まれていたのか?
それによってキャラクターがちょっと変わってくるよなー。


感想のテンプレ

しかし他の人の感想を見ようと検索してみると、「読書感想文のテンプレ」ってのがわんさかひっかかって苦笑する。
こんだけあれば、あちこちからピックアップしてそれなりに自分の言葉に変えて、たぶん先生にはバレずに済むだろう、煩わしい宿題のひとつは片付くわけだ。
テンプレを用意する側も合わせて、それもなかなか興味深い人間心理。

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